ヒラタグモ科

2010年3月16日 (火)

鉄板の上のニューロン

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脳細胞はとても不思議なものです。高校の生物の教科書に、一つ目の宇宙人のような神経細胞の図が出ていたのを記憶しています。確かニューロンという名称だったと思うのですが、木の枝のように繊維(樹状突起)を伸ばしてほかのニューロンに連携し情報を伝える。それは複雑怪奇な仕事をする変わった形の細胞でした。

あの樹状突起は何の秩序もなしに伸びているのでしょうか? あの形にはきっと深い理由があるはずです。合理的かつ美しい法則に導かれた結果なのではないでしょうか。

さて、鉄板の上にニューロンがあったので撮っておきました。正しくは樹状突起の部分だけです。そうです、この正体はヒラタグモの住居。この住居の形にもきっと深い理由と美しい法則があるはず…と思う私。住居は直径30ミリ近くある大きなものです。中に入っているヒラタグモもかなり大きいはずです。

住居は野ざらしの鉄板の上に造られています。ということは、この中で冬を越したということでしょうか? 撮影地は標高約700メートルの山の頂より少し下。冬はかなり寒いことでしょう。その寒さをしのぐということは、防風性や保温性にも優れている住居なのかも知れません。蜘蛛の糸、恐るべし!


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では、制作者にご登場願いましょう。体長約10ミリのメスの成体です。この写真ではよくわかりませんが、ヒラタグモはとても愛嬌のある顔をしています。個人的にはかわいい蜘蛛だと思うのですが、ハエトリグモほどの人気はないようです(本当かよ!)。


●ヒラタグモ/Uroctea compactilis
ヒラタグモ科ヒラタグモ属

撮影:2010.3.12/加波山
参考文献:文一総合出版『日本のクモ』

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2009年7月 5日 (日)

神鳴り様の正体は…

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先月のブログで、受信糸を四方八方に伸ばしたヒラタグモの住居を稲妻を轟かせる雷雲に見立てた話を書きました。今日はその神鳴り様の正体をお届けします。


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住居を上からなぞると蜘蛛の居場所がわかります。探り当てたら外の方に軽く押し出していきます。すると…


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ほ〜らね、ヒラタグモが顔を出します。意外にもひょうきんな顔をしてませんか? なかには模様の色が茶色っぽい個体もいます。

この蜘蛛は、昔風の民家などにはいたるところに住居を作っています。今回は野外のスギの樹皮裏にいたものです。屋外で暮らすヒラタグモは、民家にいるものよりも住居に厚みがあるような気がします。やはり屋内よりも環境が厳しいせいでしょうか、きちんと対策をとっているようです。


●ヒラタグモ/Uroctea compactilis
ヒラタグモ科ヒラタグモ属

撮影:2009.6.20/小美玉市・旧美野里町
参考文献:文一総合出版『日本のクモ』

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2009年6月25日 (木)

神鳴りさまの雲

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細かな稲妻を四方に轟かせる小さな雲。この稲妻は受信糸と呼ばれるものです。虫が通りかかってこの糸にふれると、雲のなかに隠れている蜘蛛がさささっと出てきて獲物を捕まえるそうです。つまり、この雲は蜘蛛の住居ということになります。

今回は高い位置にあったので神鳴り様は拝めませんでしたが、そのうち神鳴り様の正体であるヒラタグモをご報告したいと思います。


撮影:2009.6.15/石岡市

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2008年5月12日 (月)

おおっ、天井に星が…

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隣町の公園(やすらぎの里)には移築された古民家があります。家のなかから外を眺めると、これがとてもいい雰囲気です。しかし畳が古いのが玉に傷。昔の規格サイズのものを作れる(修繕できる)職人が、今はいないのだろうかと想像してしまいます。考えてみると、それも寂しい話ですね〜。


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上を見上げると天井板に星がくっついています。


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そうです、ヒラタグモの住居です。受信糸がなが〜く伸びているのが分かります。それにしても立派な住居でした。


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古民家のなかは煙で燻された懐かしい匂いがします。私はこの匂いがけっこう好きです。なぜなら、じいちゃん・ばあちゃんの家の匂いだからです。


●ヒラタグモ/Uroctea compactilis
ヒラタグモ科ヒラタグモ属


参考文献:文一総合出版『日本のクモ』
(2008.5.2/小美玉市・旧小川町)

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2008年3月11日 (火)

ヒラタグモの背中の模様

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前回からのつづきです。

雑木林のなかには、なぜか四阿(あずまや)があります。その柱がけっこう太い木で、大きく割れています。その隙間に住居を構えているのがヒラタグモです。


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こちらは上の写真とは別の個体です。でも、背中の模様が似ています。ヒラタグモは個体によって模様が微妙に違います。あるものは孤島のように独立、あるものは模様の四方から側面に向かって線が延びています。今回見つけた両者はかなり似通っているような気がするのですが、いかがなものでしょう?


●ヒラタグモ/Uroctea compactilis
ヒラタグモ科ヒラタグモ属

参考文献:文一総合出版『日本のクモ』
(2008.3.9/石岡市)

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2008年2月 3日 (日)

去年の蜘蛛…ヒラタグモ

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去年の2月に撮った蜘蛛、ヒラタグモです。公園内に移築展示されている古民家のなかには、この蜘蛛の住居がたくさんあります。上の写真は、そこから出てきてもらって撮影したものです。

頭胸部の形に特徴があり、ずんぐりとした印象の蜘蛛です。それと、腹部の模様にも多少の変異があるように感じます。写真の個体は中央部の黒い模様が、腹部の縁にある黒い部分とつながっていますが、なかには中央の模様が完全に独立しているものもいます。この古民家にいるヒラタグモは、ほとんどが写真のような模様ですが、違う地域では中央部が完全に独立したものを見た記憶があります。


●ヒラタグモ/Uroctea compactilis
ヒラタグモ科ヒラタグモ属


参考文献:文一総合出版『日本のクモ』
(2007.2.12/石岡市)

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2007年11月15日 (木)

雨の日のヒラタグモ

取手(とりで)で仕事があったので、ついでに蜘蛛の観察をしてきました。

取手市は茨城の最南端にあります。利根川をはさんだ向こう岸は千葉県です。JR常磐線で、茨城に入って最初の駅が取手駅になります。

自分は車で行きましたが、渋滞が予想されるので2時間ちょっとの余裕を見て家を出ました。取手までは約50キロありますが、予想に反し1時間ちょっとで到着。土曜日だったので通勤の人が少なかったことが要因かもしれません。


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仕事開始まで1時間くらい時間があったので、もちろん蜘蛛を見に行くことに…。しかし、土砂降りの雨。さすがにためらいはありましたが、これも何かの縁だろうと傘をさしながら雨のなかを歩き出しました。


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向かった先は、地元で「とげ抜き地蔵」の愛称で親しまれているお地蔵さんがあるところです。


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土砂降りの雨のとき、蜘蛛たちはどこにいるのか…と目を凝らして探しましたが見つかりません。やっぱり網を見つけられないと蜘蛛探しは難しいようです。徘徊性の蜘蛛もどこにいるのかさっぱり見当がつきませんでした。唯一見つけたのは木の根元の方で雨をしのいでいるジョロウグモのメスだけでした。


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仕方がないので樹皮上を探すことにしました。見つけたのは樹皮裏にあった蜘蛛の住居らしきものです。


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出てきたのはヒラタグモです。なかからは数匹の子蜘蛛たちも這い出してきました。かわいい子蜘蛛です。体長は1ミリくらいでしょうか。ほとんどの子蜘蛛はすでに旅立ったようすでした。


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ヒラタグモを見るたびに「変わった姿をした蜘蛛だなぁ」と思います。特に頭胸部の形がほかの蜘蛛と違うような気がします。その名の通り、平たい体型に特徴がある蜘蛛です。


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お地蔵さんの周りにはたくさんの木がありますが、その樹皮のあちこちにヒラタグモの網が見られました。


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話は変わって、お地蔵さんの件です。とげが刺さったときにこの「とげ抜き地蔵」にお参りすると、いつのまにか取れるという話を聞いたことがあります。今でもその信仰はつづいているようで、境内にはお参りに来た人たちがお茶を飲んで閑談する席も設けられていました。


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一方では、このお地蔵さんにお願いすると病気の痛みや苦しみを知ることなく、ぽっくりと死ぬことができるという話も聞いたことがあります。この話を聞いて、昔の人の死生観や人生観を良く表していると思ったものです。10年以上も前に取手周辺のことについて少し調べたことがありました。自分が地域の民俗について興味を持つようになったのは、このことに端を発しているのかもしれません。


●ヒラタグモ/Uroctea compactilis
ヒラタグモ科ヒラタグモ属

参考文献:文一総合出版『日本のクモ』
(2007.11.10/取手市)

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