取手(とりで)で仕事があったので、ついでに蜘蛛の観察をしてきました。
取手市は茨城の最南端にあります。利根川をはさんだ向こう岸は千葉県です。JR常磐線で、茨城に入って最初の駅が取手駅になります。
自分は車で行きましたが、渋滞が予想されるので2時間ちょっとの余裕を見て家を出ました。取手までは約50キロありますが、予想に反し1時間ちょっとで到着。土曜日だったので通勤の人が少なかったことが要因かもしれません。

仕事開始まで1時間くらい時間があったので、もちろん蜘蛛を見に行くことに…。しかし、土砂降りの雨。さすがにためらいはありましたが、これも何かの縁だろうと傘をさしながら雨のなかを歩き出しました。

向かった先は、地元で「とげ抜き地蔵」の愛称で親しまれているお地蔵さんがあるところです。

土砂降りの雨のとき、蜘蛛たちはどこにいるのか…と目を凝らして探しましたが見つかりません。やっぱり網を見つけられないと蜘蛛探しは難しいようです。徘徊性の蜘蛛もどこにいるのかさっぱり見当がつきませんでした。唯一見つけたのは木の根元の方で雨をしのいでいるジョロウグモのメスだけでした。


仕方がないので樹皮上を探すことにしました。見つけたのは樹皮裏にあった蜘蛛の住居らしきものです。


出てきたのはヒラタグモです。なかからは数匹の子蜘蛛たちも這い出してきました。かわいい子蜘蛛です。体長は1ミリくらいでしょうか。ほとんどの子蜘蛛はすでに旅立ったようすでした。

ヒラタグモを見るたびに「変わった姿をした蜘蛛だなぁ」と思います。特に頭胸部の形がほかの蜘蛛と違うような気がします。その名の通り、平たい体型に特徴がある蜘蛛です。

お地蔵さんの周りにはたくさんの木がありますが、その樹皮のあちこちにヒラタグモの網が見られました。


話は変わって、お地蔵さんの件です。とげが刺さったときにこの「とげ抜き地蔵」にお参りすると、いつのまにか取れるという話を聞いたことがあります。今でもその信仰はつづいているようで、境内にはお参りに来た人たちがお茶を飲んで閑談する席も設けられていました。

一方では、このお地蔵さんにお願いすると病気の痛みや苦しみを知ることなく、ぽっくりと死ぬことができるという話も聞いたことがあります。この話を聞いて、昔の人の死生観や人生観を良く表していると思ったものです。10年以上も前に取手周辺のことについて少し調べたことがありました。自分が地域の民俗について興味を持つようになったのは、このことに端を発しているのかもしれません。
●ヒラタグモ/Uroctea compactilis
ヒラタグモ科ヒラタグモ属
参考文献:文一総合出版『日本のクモ』
(2007.11.10/取手市)
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