催眠術師マルピッサ

ゆらゆらと糸にぶら下がりながらオオハエトリが交接していました。そっと手のひらに載せると、ご覧のように二匹は離ればなれに。

メスは仰向けになった状態でピクリともしません。そのようすは、まるで催眠術にかかっているようでした。糸に揺られているうちに深い眠りに落ちてしまったのでしょうか?

素っ気なく立ち去ろうとするオスでしたが、仰向けになったメスを通常の状態に戻すと不思議な行動をとり始めました。第一脚を小刻みに上下させながら、メスの周囲でダンスを踊り始めたのです。

メスが拒絶していないことを確認したらしく、さささっとメスに近づきました。このとき、メスはまだ催眠状態で何の抵抗もしません。すべておまかせ状態です。

オスはおもむろにメスをひっくり返します。柔道でいう上四方固めへ持ち込むような段取り。このオス、かなり寝技は得意なようです。決まり手は上四方と横四方の中間、崩れ上四方固めと言えそうな技でした。

パンパンに膨れた触肢がよく見えます。珍しい写真が撮れたので、この日はとても充実した気分でした。こんなドラマに出会えるとは、なんて幸運なんでしょう! コンパクトデジカメを持参していてホントよかった〜。
*マルピッサはオオハエトリグモ属の学名(ラテン語)です
●オオハエトリ/Marpissa milleri
ハエトリグモ科オオハエトリグモ属
撮影:2009.10.11/石岡市
参考文献:文一総合出版『日本のクモ』
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